箱根駅伝 専門メディア第103回大会 2027年1月2日・3日

大会回顧

第100回箱根駅伝2024完全レビュー:記念大会で青山学院大学が駒澤大学の連続三冠を阻む

23校が出場した記念大会。2区黒田、3区太田の連続区間賞で駒澤大学をとらえた青山学院大学が、10時間41分25秒の大会新記録で優勝した。

目次
  1. 記念大会ならではの大会方式
  2. 大会前の構図:駒澤大学の連続三冠なるか
  3. 往路:2区と3区で流れが変わる
  4. 1区・2区:駒澤大学が先手、青山学院大学が猛追
  5. 3区:太田蒼生選手の59分47秒
  6. 4区・5区:往路新記録で往路優勝
  7. 復路:差を広げ続けた5区間
  8. 城西大学、過去最高の3位
  9. 2年続けて塗り替えられた5区の記録
  10. 上位10校とシード権
  11. 往路と復路のバランスを数字で見る
  12. 前回大会との比較
  13. 100回の歴史の中の第100回大会
  14. 第100回大会が残したもの

2024年1月2日と3日に行われた第100回東京箱根間往復大学駅伝競走は、青山学院大学が10時間41分25秒の大会新記録で2年ぶり7度目の総合優勝を果たしました。前年度に三大駅伝をすべて制し、この年度も出雲駅伝と全日本大学駅伝を勝っていた駒澤大学は総合2位。2年連続の三冠はなりませんでした。節目の100回目にふさわしく、大会の歴史に残る記録と展開が重なった2日間を、公式記録と報道をもとに振り返ります。

小旗を振る沿道の観衆の前を走るランナーのイラスト
第100回大会は通常より3校多い23校が箱根路を走った(イラスト:Voxlynest編集部)

記念大会ならではの大会方式

第100回大会は記念大会として、出場校が通常の20校から23校に拡大されました。読売新聞によると、出場したのは第99回大会で10位以内に入ったシード校10校と、予選会を通過した13校です。予選会はこの大会で初めて全国の大学に門戸が開かれました。一方、予選会で敗れた大学の選手で編成される関東学生連合チームは、この大会では編成されていません。

出場校が増えたことで、往路・復路ともに中継所での順位変動の幅が大きくなり、シード権争いにも通常の大会とは異なる緊張感が生まれました。最終的にシード権を得たのは10位の大東文化大学までの10校です。

大会前の構図:駒澤大学の連続三冠なるか

大会前の最大の焦点は、駒澤大学が史上初となる2季連続の大学駅伝三冠を達成できるかどうかでした。読売新聞は、駒澤大学がこの年度の出雲駅伝と全日本大学駅伝を制していたことを伝えています。その駒澤大学に対し、往路でどこまで食い下がれるかが他校の課題でした。

往路:2区と3区で流れが変わる

1区・2区:駒澤大学が先手、青山学院大学が猛追

1区では駒澤大学の篠原倖太朗選手が区間賞を獲得し、2区の鈴木芽吹選手も首位を守りました。ここで流れを変えたのが青山学院大学の2区、黒田朝日選手です。9位でたすきを受けると7人を抜いて区間賞を獲得し、駒澤大学との差を22秒まで縮めました。

3区:太田蒼生選手の59分47秒

3区では青山学院大学の太田蒼生選手が7km過ぎに駒澤大学の佐藤圭汰選手に追いつき、並走が続きました。読売新聞によれば、太田選手は18km過ぎにスパートしてトップでたすきをつなぎます。記録は59分47秒で、日刊スポーツは日本人選手として初めて3区で1時間を切ったと伝えています。2位の佐藤選手も1時間00分13秒で走っており、読売新聞の区間記録歴代ベスト5(第102回大会まで)では、太田選手が2位、佐藤選手が4位に記載されています。

4区・5区:往路新記録で往路優勝

4区の佐藤一世選手も区間賞で続き、黒田選手、太田選手と3区間連続の区間賞となりました。5区の若林宏樹選手は区間2位でまとめ、青山学院大学は従来の往路記録を3分03秒更新する5時間18分13秒の往路新記録で、2年ぶり6度目の往路優勝を果たしました。往路2位の駒澤大学は5時間20分51秒で、両校の差は2分38秒でした。

往路順位総合順位1青山学院大1青山学院大2駒澤大2駒澤大3城西大3城西大4東洋大4東洋大6國學院大5國學院大9法政大6法政大5早稲田大7早稲田大7創価大8創価大12帝京大9帝京大8大東文化大10大東文化大赤線:復路で順位を上げた大学(往路11位以下は最下段に表示)
大学往路総合変化青山学院大1位→1±0駒澤大2位→2±0城西大3位→3±0東洋大4位→4±0國學院大6位→5↑1法政大9位→6↑3早稲田大5位→7↓2創価大7位→8↓1帝京大12位→9↑3大東文化大8位→10↓2色付きの行:2つ以上順位が動いた大学
第100回大会の往路順位と総合順位。上位2校は往路の順位のまま、城西大学は往路3位を守って総合3位に入った(公式記録をもとにVoxlynest編集部作成)

復路:差を広げ続けた5区間

青山学院大学によると、6区の野村昭夢選手は9km付近で2位との差を3分18秒、17km地点で3分45秒まで広げ、トップでたすきをつなぎました。8区の塩出翔太選手と9区の倉本玄太選手が区間賞を獲得し、10区の宇田川瞬矢選手が大手町のフィニッシュテープを切ります。復路記録は5時間23分12秒で、2年ぶり8度目の復路優勝でした。

総合記録10時間41分25秒は、読売新聞によれば第98回大会(2022年)に青山学院大学自身が出した大会記録を2分17秒更新するものでした。2位駒澤大学との差は6分35秒に達しています。

1. 青山学院大優勝2. 駒澤大+6分35秒3. 城西大+11分01秒4. 東洋大+11分22秒5. 國學院大+14分02秒6. 法政大+15分10秒7. 早稲田大+15分15秒8. 創価大+15分56秒9. 帝京大+17分57秒10. 大東文化大+19分17秒
1 青山学院大優勝2 駒澤大+6分35秒3 城西大+11分01秒4 東洋大+11分22秒5 國學院大+14分02秒6 法政大+15分10秒7 早稲田大+15分15秒8 創価大+15分56秒9 帝京大+17分57秒10 大東文化大+19分17秒
第100回大会の優勝校とのタイム差。2位以下は6分35秒以上離れた(公式記録をもとにVoxlynest編集部作成)

城西大学、過去最高の3位

この大会で存在感を示したのが城西大学です。往路3位(5時間21分30秒)で山を下りると、復路は12位ながら総合3位を守り、日本経済新聞によれば過去最高の順位となりました。5区では山本唯翔選手が自身の持つ区間記録を塗り替え、最優秀選手に選ばれています。大会公式サイトの5区歴代ランキングでは、山本選手の1時間09分14秒が上位に記載されています。

2年続けて塗り替えられた5区の記録

読売新聞の5区特集によると、この大会の5区では城西大学の山本唯翔選手が2年連続の区間新記録となる1時間09分14秒を出し、区間2位の青山学院大学・若林宏樹選手も1時間09分32秒で、前年の山本選手の記録を上回りました。前年の第99回大会でも、山本選手(1時間10分04秒)と順天堂大学の四釜峻佑選手(1時間10分19秒)が、第96回大会に東洋大学の宮下隼人選手が作った区間記録を破っています。5区が現在の20.8kmになったのは2017年の第93回大会からで、その後の記録の伸びが際立ちます。

城西大学はその後も上位を保ち、第101回大会で6位、第102回大会で7位に入っています。第102回大会では5区の斎藤将也選手が1時間09分28秒を記録し、読売新聞の5区歴代ベスト5で4位に記載されています。山上りを強みとする流れは、山本選手の卒業後も続いています。

上位10校とシード権

第100回大会 総合上位10校(出典:大会公式サイト「過去の記録」)
順位大学総合記録往路復路
1青山学院大学10:41:255:18:13(1)5:23:12(1)
2駒澤大学10:48:005:20:51(2)5:27:09(2)
3城西大学10:52:265:21:30(3)5:30:56(12)
4東洋大学10:52:475:25:19(4)5:27:28(3)
5國學院大學10:55:275:27:07(6)5:28:20(5)
6法政大学10:56:355:29:03(9)5:27:32(4)
7早稲田大学10:56:405:26:05(5)5:30:35(10)
8創価大学10:57:215:28:08(7)5:29:13(7)
9帝京大学10:59:225:30:23(12)5:28:59(6)
10大東文化大学11:00:425:28:54(8)5:31:48(17)

4位東洋大学は往路4位・復路3位と2日間とも上位で走り、5位國學院大學、6位法政大学、7位早稲田大学と続きました。法政大学は往路9位から復路4位で順位を上げています。10位大東文化大学(11時間00分42秒)と11位東海大学(11時間01分52秒)の差は1分10秒でした。東海大学と12位国士舘大学は総合記録が同じ11時間01分52秒で並んでいます。

往路と復路のバランスを数字で見る

上位10校の往路と復路の順位を並べると、チームごとの戦い方の違いが見えてきます。青山学院大学と駒澤大学は往路・復路ともに1位と2位で、2日間を通して他校を引き離しました。東洋大学は往路4位(5時間25分19秒)、復路3位(5時間27分28秒)と、両日とも上位で安定していました。

対照的なのが、往路と復路で順位が大きく異なる大学です。城西大学(往路3位・復路12位)、早稲田大学(往路5位・復路10位)、大東文化大学(往路8位・復路17位)は往路型、法政大学(往路9位・復路4位)、帝京大学(往路12位・復路6位)は復路型の成績でした。シード圏外では、明治大学が往路23位から復路8位、日本体育大学が往路21位から復路11位と、復路で大きく巻き返しています。逆に順天堂大学は往路10位から復路22位となり、総合17位にとどまりました。

前回大会との比較

日本テレビの歴代優勝校一覧によると、前回の第99回大会(2023年)は駒澤大学が10時間47分11秒で総合優勝し、往路・復路ともに制していました。第100回大会の青山学院大学の記録は、それを5分46秒上回ります。駒澤大学自身も10時間48分00秒と前年の優勝記録に近いタイムで走っており、敗れたとはいえ大きく崩れたわけではありません。それ以上に、青山学院大学の往路での記録更新が際立った大会でした。

また、前年の優勝校である駒澤大学が往路・復路とも2位で総合2位という結果は、2強の力が他校より抜けていたことを示しています。3位城西大学と2位駒澤大学の差は4分26秒、1位と3位の差は11分01秒でした。

100回の歴史の中の第100回大会

1920年の第1回大会から数えて100回目となったこの大会までに、総合優勝を経験した大学は17校にのぼります。日本テレビの歴代優勝校一覧によると、第100回大会を終えた時点で最も多く優勝しているのは中央大学の14回、次いで早稲田大学13回、日本大学12回、順天堂大学11回、日本体育大学10回でした。青山学院大学はこの大会で7回目の優勝となり、2015年の初優勝から10大会で7度という短期間での積み上げが際立ちます。

中央大学14回早稲田大学13回日本大学12回順天堂大学11回日本体育大学10回青山学院大学9回駒澤大学8回明治大学7回東洋大学4回大東文化大学4回
中央大14回早稲田大13回日本大12回順天堂大11回日本体育大10回青山学院大9回駒澤大8回明治大7回東洋大4回大東文化大4回
大学別の総合優勝回数(第102回大会まで)。青山学院大学はその後2回の優勝を加えて9回となった(日本テレビ「歴代優勝校」をもとにVoxlynest編集部作成)

第1回大会の優勝記録は15時間05分16秒。100回を経て、優勝記録は4時間20分以上短縮されたことになります。コースや区間割りは時代とともに変わっているため単純な比較はできませんが、学生長距離の水準の変化を物語る数字です。

第100回大会が残したもの

青山学院大学にとっては、創立150周年、原晋監督の就任20年目という節目での優勝でした(青山学院大学の発表による)。往路新記録、大会新記録という数字に加え、3区での日本人初の1時間切り、城西大学の躍進など、記録の面でも新しい基準が生まれた大会でした。

参考資料

  1. 過去の記録 大会詳細:第100回大会 2024年(東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト)
  2. 第100回箱根駅伝 青山学院大、大会新Vで駒沢大の連続3冠阻む(読売新聞オンライン)
  3. 箱根駅伝、青山学院大学が総合優勝 駒沢大学は2位で3冠ならず(日本経済新聞)
  4. 【箱根駅伝】再々逆転!青学太田蒼生が日本人初3区1時間切り(日刊スポーツ)
  5. 陸上競技部が第100回箱根駅伝で大会新記録、2年ぶり7回目の総合優勝(青山学院大学)
  6. 箱根路の5区に君臨するのは「山の神」「山の妖精」から「山の名探偵」へ…近年は記録ラッシュ(読売新聞オンライン)
  7. 箱根駅伝 区間記録歴代ベスト5(読売新聞オンライン)
  8. コース紹介(東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト)
  9. 歴代優勝校(日本テレビ 箱根駅伝番組公式サイト)

記録は大会公式サイト「過去の記録」に基づきます。

← 記事一覧へ戻る