箱根駅伝の2区は、鶴見中継所から戸塚中継所までの23.1kmを走る区間です。読売新聞の区間記録ページによると、往路の2区と復路の9区が23.1kmで、10区の23.0kmと並ぶ長い区間です。古くから「花の2区」と呼ばれ、各大学のエースが顔をそろえてきました。この記事では、大会公式サイトの説明と区間記録をもとに、2区が特別視される理由を整理します。
公式サイトが挙げる3つの理由
大会公式サイトは、2区が「花の2区」と呼ばれる理由を説明しています。第一に、第82回大会で小田原中継所の場所が変わるまで、2区は長く箱根駅伝の最長区間であり、今も平地の区間では最長であること。第二に、1区のスピードランナーたちが僅差で鶴見中継所に飛び込んでくるため、序盤の流れを引き寄せたい各校がエースを投入することが多く、歴代の名選手がこの区間を走ってきたこと。そして外国人留学生が起用されることが多い区間でもあることです。
公式サイトは、2区の後半には起伏の厳しい2つの上り坂があり、各校のエースを苦しめてきたとも紹介しています。この坂が「ごぼう抜き」や「ブレーキ」など数多くのドラマを生んできました。長い距離、エース同士の競り合い、終盤の上り坂という3つの要素が重なるのが2区です。
ごぼう抜きの記録
2区は順位が大きく動く区間でもあります。公式サイトによると、23チームが出場した2009年の第85回記念大会では、日本大学のダニエル選手が20人抜きを達成し、チームを22位から2位に押し上げました。20チームが出場した大会での最多は、2011年の第87回大会で東海大学の村澤明伸選手が2区で記録した17人抜きです。村澤選手は最下位でたすきを受け、チームを一気に3位まで押し上げました。
近年でも、2024年の第100回大会では青山学院大学の黒田朝日選手が9位でたすきを受けて7人を抜き、区間賞を獲得しました。首位の駒澤大学との差を22秒まで縮め、3区での逆転につなげています。
2区の歴代上位
- 1位
- V.キムタイ(城西大)1:05:09(2026年)
- 2位
- R.エティーリ(東京国際大)1:05:31(2025年)
- 3位
- S.キップケメイ(日本大)1:05:42(2026年)
- 4位
- 吉田響(創価大)1:05:43(2025年)
- 4位
- B.キピエゴ(山梨学院大)1:05:43(2026年)
上の表は読売新聞の区間記録歴代ベスト5(第59回大会以降、第102回大会まで)による2区の上位です。5人すべてが2025年と2026年の記録で、うち4人が留学生でした。2026年の第102回大会では、城西大学のV.キムタイ選手が1時間05分09秒を記録し、前年に東京国際大学のR.エティーリ選手が出した記録を22秒更新しています。日本人選手では、2025年の創価大学・吉田響選手の1時間05分43秒が最上位です。
近年の2区の展開
2025年の第101回大会では、東京国際大学のR.エティーリ選手が1時間05分31秒で当時の歴代最高を記録し、創価大学の吉田響選手が1時間05分43秒で続きました。青山学院大学の黒田選手は1時間05分44秒の区間3位で、1区で10位と出遅れたチームを戸塚中継所で3位まで押し上げています。2026年の第102回大会では、日本大学のS.キップケメイ選手(1時間05分42秒)と山梨学院大学のB.キピエゴ選手(1時間05分43秒)も歴代上位に入りました。日本大学はこの大会で総合10位に入り、シード権を獲得しています。2区の好走がチームの順位を支えた例です。
2区の前の1区も、近年は高速化が進んでいます。読売新聞の区間記録歴代ベスト5によると、2026年の1区では國學院大學の青木瑠郁選手の1時間00分28秒から中央学院大学の近田陽路選手の1時間00分45秒まで、歴代上位5人のうち4人が17秒の中に入りました。公式サイトが説明するとおり、1区の選手が僅差で鶴見中継所に飛び込んでくるからこそ、2区のエースの走りが序盤の流れを決めることになります。
2区を走った選手たち
2区はその後の活躍につながる選手が走ってきた区間でもあります。読売新聞によると、5区で「山の神」と呼ばれた順天堂大学の今井正人選手は、1年生の時に花の2区を走っていました。2026年に5区で区間新記録を出した青山学院大学の黒田朝日選手も、2024年と2025年は2区を担当しています。2区で力を示した選手が、別の区間で新たな記録を出す例は少なくありません。2区を経験したことが、その後の区間配置の選択肢を広げているともいえます(編集部分析)。
同じ道を戻る9区
復路の9区は、戸塚から鶴見まで2区と同じ23.1kmを逆にたどります。読売新聞の区間記録歴代ベスト5(第59回大会以降)によると、9区の記録は2022年に青山学院大学の中村唯翔選手が出した1時間07分15秒で、上位3人をすべて青山学院大学の選手が占めています。2区の記録と比べると2分ほど遅く、往路の2区と復路の9区では、同じ距離でも求められる走りが異なることがうかがえます。9区は復路で最も長い区間で、10区の23.0kmと合わせ、復路の後半に長い2区間が続く構成です。
参考資料
- 箱根駅伝とは(概要・歴史・豆知識)(東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト)
- 箱根駅伝 区間記録歴代ベスト5(読売新聞オンライン)
- 箱根路の5区に君臨するのは「山の神」「山の妖精」から「山の名探偵」へ…近年は記録ラッシュ(読売新聞オンライン)
- 第100回箱根駅伝 青山学院大、大会新Vで駒沢大の連続3冠阻む(読売新聞オンライン)
- 過去の記録 大会詳細:第100回大会 2024年(東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト)
- コース紹介(東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト)
記録は大会公式サイト「過去の記録」に基づきます。