箱根駅伝に出場する21チームのうち、1チームは特定の大学ではありません。予選会で本大会出場を逃した大学の選手で編成される関東学生連合チームです。順位がつかない「オープン参加」のチームですが、選手にとっては箱根路を走る貴重な機会となっています。この記事では、大会公式サイトのルールと報道をもとに、関東学生連合チームの仕組みと、そこから羽ばたいた選手の例を紹介します。
編成のルール
大会公式サイトによると、箱根駅伝には前年大会でシード権を獲得した上位10校、10月の予選会を通過した10校、そして関東学生連合を加えた合計21チームが出場します。関東学生連合チームは、予選会を通過しなかった大学の記録上位者から選ばれ、1校から選ばれるのは1人までです。チームのタイムは参考扱いとなり、正式な順位はつきません。
1校1人という決まりにより、連合チームの10人は全員が異なる大学の選手になります。普段は別々のチームで練習している選手が、1本のたすきをつないで東京と箱根を往復することになります。予選会の個人成績が選考の基準になるため、チームとしては予選会で敗れても、個人として力を示した選手が本大会の舞台に立てる仕組みです。
予選会とのつながり
連合チームの選手は、予選会を走った大学の中から選ばれます。月陸Onlineの結果によると、2025年10月の第102回予選会のチーム総合には41校の記録が並び、11位の法政大学、12位の明治大学といった伝統校から、筑波大学、東京大学、一橋大学、千葉大学などの国公立大学までが名を連ねました。チームとして通過できなかった31校の選手が、個人の記録で連合チーム入りを目指すことになります。1校1人の枠のため、同じ大学から複数の選手が選ばれることはありません。
連合チームの選手が所属する大学の多くは、本大会でたすきをつなぐ機会がありません。公式サイトによると、予選を通過できなかった大学の学生も、正月には補助員として多数が大会の運営に加わっています。走る選手と支える学生の両方で、予選会で敗れた大学も箱根駅伝に関わっています。
編成されなかった第100回大会
関東学生連合チームが毎年必ず編成されるわけではありません。読売新聞によると、2024年の第100回記念大会では出場校が23校に拡大され、予選会は初めて全国の大学に門戸が開かれました。この大会では、予選会で敗れた大学の選手で編成される関東学生連合チームは編成されていません。予選会の通過校を通常の10校から13校に増やしたことで、出場枠の形が変わった大会でした。
第101回大会の関東学生連合
2025年の第101回大会では、関東学生連合が再び編成されました。大会公式サイトの記録によると、関東学生連合の総合記録は参考記録ながら11時間06分53秒でした。この大会の総合20位は日本大学の11時間11分50秒で、記録の上では連合チームがこれを上回っています。ただし、参考記録のため順位には含まれず、シード権の対象にもなりません。
連合チームから五輪へ:小山直城選手
関東学生連合の経験が、その後の競技人生につながった例があります。読売新聞によると、東京農業大学出身の小山直城選手は、大学時代にチームが低迷期にあり、大学としての箱根駅伝出場はかないませんでした。2年生だった2017年、関東学生連合のメンバーとしてオープン参加し、4区を参考記録ながら1時間05分47秒、区間10位相当のタイムで走っています。
読売新聞の記事では、小山選手がそのときの沿道の声援を、その後も超えるものはないほどの経験として振り返っています。1年生と3年生のときは沿道で警備にあたる走路員を務め、4年生のときは同期が連合チームのメンバーに選ばれ、付き添いを務めました。走る年もあれば支える年もあるという形で、4年間を通じて箱根駅伝に関わったことになります。
その小山選手は、2023年10月に行われたパリ五輪のマラソン代表選考レース、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で1位となり、五輪代表に内定しました(読売新聞による)。大学として箱根駅伝に出場できなかった選手が、連合チームでの経験を経て五輪のマラソン代表になった例です。
同じ年の連合チームから
読売新聞によると、2017年の関東学生連合で2区を走ったのは中央大学の堀尾謙介選手でした。堀尾選手は2019年3月の東京マラソンで日本勢最高の5位に入り、東京五輪の代表選考会であるMGCへの出場権を得ています。小山選手は、連合チームのチームメートだった堀尾選手の活躍に刺激を受けたと振り返っています。同じ年の連合チームから、のちに五輪選考の舞台に立つ選手が2人出たことになります。1校1人の寄り合いのチームで、互いに刺激を与え合う関係が生まれていたことがうかがえます。
連合チームの意味
公式サイトによると、箱根駅伝は金栗四三らの「世界に通用するランナーを育成したい」という思いから生まれました。予選会で敗れた大学にも本大会を走る機会を設ける連合チームの仕組みは、所属するチームの成績にかかわらず、個人として力のある選手に大きな舞台を経験させるものといえます。
参考資料
- 箱根駅伝とは(概要・歴史・豆知識)(東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト)
- 第100回箱根駅伝 青山学院大、大会新Vで駒沢大の連続3冠阻む(読売新聞オンライン)
- 過去の記録 大会詳細:第101回大会 2025年(東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト)
- 東京農業大出身の小山直城、母校の「10年ぶり箱根路」励みにパリ五輪マラソンへ(読売新聞オンライン)
- 小山直城・赤崎暁がパリ五輪代表内定、大迫傑はMGC3位(読売新聞オンライン)
記録は大会公式サイト「過去の記録」に基づきます。